10月7日、第3回定例会は誰もが予想しなかった西岡市長の辞任という衝撃的な結末をもって閉会となりました。
なぜ、西岡市長は辞任しなくてはならなくなったのか?
直接的な原因は、厚生文教委員会に付託され継続審査中だった市立保育園の段階的縮小を進める条例を専決処分したためです。専決処分とは議会が議決すべき事項を市長が代わって処分することで、議会を招集する暇のないときなどに行い、市長は次の議会での報告と承認を求めなければならないとされている行為なのですが……
あらためて西岡市長が辞任に至る経過を振り返ります。そもそも市立保育園の廃園条例は市議会が真っ二つに割れる大問題となっていたため、6月から市議会全員協議会が合計6回も開催され、一部議員の質疑が途中で残っていたにもかかわらず、市長が9月中の議決が必要な議案であると判断し、全員協議会での質疑が事実上の打ち切りとなるのも覚悟のうえで、9月1日から始まった第3回定例会への議案上程に踏み切る事態となっていました。
9月2日の議案上程時の本会議で村山ひできは議案に賛成を表明する質疑を行っており、その後、議案は厚生文教委員会に付託され審議された結果、9月中の委員会採決を求める声もありましたが、委員会内の多数決により参考人招致を行うことも含めて「継続審査」扱いとなり、9月28日の本会議で委員長報告がされ正式に継続審査が確定しました。
決算特別委員会の初日となる翌日29日の昼食休憩中に、市長が議案を専決処分したとの知らせが駆け巡り、議会は大紛糾し決算審査は中断となり、翌日30日から専決処分についての全員協議会が開かれる異常事態となりました。
当然、一日で終わるはずもなく10月3日、4日と合計3回の全員協議会が開催されましたが、専決処分は強力な措置であり、仮に議会が不承認としても元に戻す法的な拘力はないとされています。市長への不信任決議の可決も現実味をおびる中、はたして専決処分を認めるのか?認めないのか?…議決態度を迫られる運命の最終日を迎えることになりました。
そして、10月7日の本会議で村山ひできは今回の専決処分を承認しました。承認した主な理由は、
①慎重審議をしたいと判断した厚生文教委員会の意思は尊重されるべきだが、入園募集事務等に影響を与えないための期限は存在していると認識しており、市長が「期限までに議決されなかった」と判断したことは理解できる。議会は賛否を表明する場であり、議員は議案に反対することだってできたはず。
②専決処分は議会の議決権を奪う行為であることは間違いない。しかし、市長部局の主張する期限の通り進めることが必要だと考えている議員もいたはずで村山もその一人であり、本会議で賛成を表明する議決行動ができなくなったとの思いもある。というのが承認した主な理由です。
議員として悩んだ末の苦渋の決断でしたが、小金井市にとって「新たな保育業務の総合的な見直し方針」は必要だと考えます。
しかし、西岡市長は10月14日付けをもって退職し、さくら・くりのみの市立保育園は来年4月から段階的に縮小(2028年3月末で廃園)ということになりました。誰が新市長になっても混乱した市政が続くのではと危惧しています…。